FPSで敵の足音は聞こえるのに、方向が分からず後ろや横から撃たれて負ける。
そんなモヤモヤを抱えたまま、ランクを回している人は多いはずです。
イヤホン選びを妥協すると、足音やスキル音の位置把握で大きなハンデを背負います。
でも、オーディオ環境にこだわって外付けDACやマイクを足すと配線が増え、
デスクがごちゃつくというジレンマもありますよね。
筆者はFPS歴約10年で、これまで数多くのイヤホンをレビューしてきました。
さらにeスポーツ大会の観戦も趣味で、プロシーンの音作りも日常的にチェックしています。
本記事では、水月雨(MOONDROP)初のゲーミングイヤホンRaysを購入しましたので、
詳しくレビューします。

本記事を読み終えるころには「Raysが自分の環境に合うか」「どんな強みと弱みがあるか」が分かるはずです。
結論から言うと、RaysはDAC内蔵で一本完結できる“万能ゲーミングイヤホン”です。
ただしHID-Labs DETECTのような特化型と比べると、良くも悪くもオールラウンダーな性格だと感じました。
水月雨 Raysのスペック・仕様
まず最初に、Raysのスペック・仕様の概要を下表に整理しました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 製品名 | MOONDROP RAYS(光束) |
| ドライバー構成 | 10mmサファイアメッキDD+6mm環状平面磁気ドライバー |
| 接続方式 | USB Type-C接続/内蔵DSPゲーミングサウンドカード |
| インピーダンス | 30Ω ±15%(@1kHz) |
| 感度 | 120dB/Vrms(@1kHz) |
| 再生周波数帯域 | 7Hz〜39kHz |
| 有効周波数帯域 | 20Hz〜20kHz(IEC60318-4, -3dB) |
| THD | ≦0.05%(@1kHz) |
| コネクター | 0.78mm 2Pin(リケーブル対応) |
| ケーブル長 | 約1.2m(本体ケーブル) |
| 付属ケーブル | USB-C to USB-A延長ケーブル(約1.5m) |
| マイク | AIノイズリダクション対応インラインマイク |
| シリーズ | MOONDROP「Gravity」プロゲーミングシリーズ |
Raysは10mmダイナミックと6mm平面磁気のハイブリッド構成に、
USB-C端子側へDSP入りサウンドカードとマイクを内蔵した、ゲーミング特化のIEMです。
1.5mの延長ケーブルも付属するため、デスクトップPCでも取り回ししやすい仕様です。
リケーブル可能なので、後からアナログ接続で遊ぶ余地がある点も魅力です。
実際に使用して良かった点・気になった点
それでは実際に長時間使用して良かった点や気になった点を紹介します。
良かった点①:水月雨らしい艶のある音質

Raysの音は、水月雨らしい中高域の艶感と、ゲーミング向けの見通しの良さを両立しています。
全体としてはややU字寄りのニュートラルで、過度にドンシャリしないバランスでした。
足音やリロード音などの中高域はクッキリと浮かび上がります。
一方で低域は必要な量感を保ちながら、ブーミーにならずタイトにまとまっています。
その結果、VALORANTやApexで銃声に足音が埋もれにくく、索敵のしやすい印象でした。
同時に音楽再生でもスカスカにならず、普段使いのIEMとしても十分楽しめます。
音場は左右方向にほどよく広がり、定位も素直で違和感が少ないです。
「ゲームも音楽もバランスよく楽しみたいFPSゲーマー」に刺さるチューニングだと感じました。
良かった点②:DACアンプやマイクが不要

Rays最大の利点は、ケーブル一本で完結することです。
ケーブル側にサウンドカードとマイクを内蔵しているため、
外付けDACやオーディオインターフェイスが不要です。
その分、デスク上の機材が減り、配線も非常にスッキリします。
USBポートさえあれば、ノートPCやタブレット、スマホでも同じ音と設定でプレイできます。
ボイスチャット用に別マイクを立てる必要もないので、
初めてゲーミングイヤホンを導入する人にも扱いやすいです。
「音質+マイク+取り回し」をトータルで見ると、価格に対するコスパはかなり高いと感じました。
良かった点③:プリセットが多数

RaysはMoondropアプリから、EQを細かく調整可能です。
さらにApex LegendsやVALORANT、Overwatchなど、
主要FPSに合わせたプリセットも多数用意されています。
(他にもCS2、CoD、PUBGなど主要なFPSはほぼ網羅されています)
足音や銃声を強調したいときはゲーム用プリセットを活かし、
音楽視聴時はフラット寄りに戻す運用も可能です。
設定は本体側に保存されるため、一度設定してしまえば別のPCやスマホでも同じ音を再現できます。
「ゲームごとにEQを変更するのは面倒」という人でも、手軽に設定を切り替えられる点は大きなメリットに感じました。
良かった点④:1.5mの延長ケーブル付き

付属のUSB-C to A延長ケーブルは約1.5mと十分な長さがあります。
フロントポートから距離のあるデスクトップPCでも、余裕を持って配線できました。
本体ケーブルは約1.2mなので、ノートPCや携帯ゲーム機と組み合わせても扱いやすい長さです。
シーンに応じて「本体のみ」「延長ケーブル込み」を選べるため、
デスク用途と普段使いの両方で使いやすいと感じました。
本体ケーブル自体もしなやかで、プレイの邪魔をしにくい取り回しの良さです。
有線ゲーミングイヤホンとして、長さと柔らかさのバランスがよく練られている印象を受けました。
良かった点⑤:音楽視聴用途にも使える
Raysはゲーミングモデルでありながら、音楽視聴でも十分満足できるクオリティがあります。
水月雨らしい滑らかな中高域と広がりのある音場のおかげで、
ボーカル曲やポップスも心地よく聴けました。
ゲーム用プリセットを外してフラット寄りに調整すると、
リスニング寄りのIEMとしても違和感なく使えます。
すでにKATOやBlessing3などを使っている人なら、「あ、水月雨の音だ」とすぐに分かる音質です。
(ただし、低域の量感はかなり控えめにはなっています)
ゲーム・音楽・動画視聴を一本でまかなえるので、
機材を増やしたくないミニマリスト志向のゲーマーにも向いています。
買い替えの頻度を抑えられるという意味でも、長期的なコスパは悪くないと感じました。
気になった点①:器用貧乏感は否めない
一方でRaysには、「何でもそつなくこなすが、どこか一つに極端には振っていない」という印象もあります。
とくにFPS特化のHID-Labs DETECTと比べると、
足音の定位の鋭さや距離感のコントラストでは一歩譲ります。
DETECTはFPSゲームに徹底的に振った設計で、「勝つための音」に尖らせたチューニングです。

対するRaysは音楽用途も意識したバランス型なので、
“スコアだけを追うガチ勢向け”というよりは、幅広く楽しみたいカジュアル層向けだと感じました。
ただしそのぶん、音があまりにもドライになりすぎず、長時間プレイでも聴き疲れしにくいです。
ガチ競技志向ならDETECT、ゲームと日常用途を両立したいならRays、という住み分けになるイメージです。
気になった点②:イヤーピースをノズルにはめにくい

もう一つ気になった点は、ノズル径がやや太めでイヤーピースをはめ込みにくいことです。
付属イヤーピースを装着するときも、少し力を入れてねじ込む必要がありました。
一度しっかり装着してしまえばホールド感は高く、プレイ中に外れる心配はほとんどありません。
それでも初期セットアップの手間という意味では、マイナス要素として認識しておいたほうがよいと感じました。
まとめ

以上。本記事では水月雨(MOON DROP)初のゲーミングイヤホン「Rays」のレビューを行いました。
最後に、本記事のポイントをあらためて整理します。
- DAC内蔵でUSB一本完結のゲーミングIEM。
- 水月雨らしい艶のある音質と、ゲーム向けの見通しのよさを両立。
- 外付けDACやマイクが不要で、デスク周りをスッキリさせたい人におすすめ。
- FPSタイトル別のプリセットが豊富で、VALORANTやApexにもすぐ対応可能。
- HID-Labs DETECTなどの特化機と比べると、定位面では一歩譲るが、汎用性は高い。
「外付けDACやオーディオIFは面倒だけど、音にはきちんとこだわりたい」という
カジュアル寄りのFPSゲーマーには、Raysは現実的な選択肢になると思います。
ゲームも音楽も動画も一本で済ませたい万能イヤホンを求めている方であれば、
購入して後悔する場面は少ないはずです。
以下に商品リンクを掲載しておりますので、
本製品が気になった方は是非、さらなる詳細や口コミ等もチェックしてみてください。

コメント